学術研究レポート
2017.02.06
バサルトメッシュのコンクリート補強効果についての研究
アイゾールテクニカにて開発した剥落防止工法「BMシート工法」では、新素材のバサルト繊維(玄武岩繊維)を使用しています。
バサルト繊維は、高い引張強度を有しており、コンクリートの剥落防止効果が確認されています。 一方、コンクリート部材への補強効果に対しても期待されていますが、その効果の有無や程度については、学術的検討がスタートしたばかりです。
そこで、バサルト繊維のコンクリートへの補強効果について検討されている、大阪市立大学大学院の角掛准教授に、バサルト繊維のコンクリート補強材としての魅力、将来性、研究概要についてご紹介いただきました。
- バサルト(玄武岩)繊維とは
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バサルト繊維は天然由来の玄武岩を溶融することで製造され,高い引張強度と優れた耐火性を持つ繊維である。
2016年現在、様々な形で土木現場への適用が検討されておりプレートに加工してトンネル覆工を補強した事例などがある。
バサルトメッシュ利用で期待されるメリット
現状、「コンクリート補強」を目的としたときに使われる素材は西日本ではカーボン、東日本ではアラミドなどが多く使われ、バサルトを補強目的で使用する例は少数です。
バサルトメッシュの補強効果が実証され実運用が可能になった場合下記のような点が期待できます。
- 高い強度
- 高い耐火性
- 火災時、有毒ガスが発生しない
- 施工が容易
- 劣化しにくい(錆など)
- コンクリート地状態の目視チェックが可能
これらのメリットから近年問題になる高速道路や高架橋での火災時、高熱になった際のコンクリートへの補強効果の持続作用や有毒ガスの発生に対して非常に有効な対策手段になると共に
コンクリート自体の目視確認が容易なので事故防止にも役立つと考えられます。
シート(メッシュ)状のバサルト接着による実験
無補強のRC梁の供試体とバサルトメッシュを接着し被補強RC梁の供試体を実験素材とした載荷試験を行った。(詳細は論文資料を参照)
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せん断耐力・斜めひび割れ発生の荷重の向上
バサルト製メッシュを側面に接着することで、RC梁のせん断耐力および斜めひび割れ発生荷重が向上した。
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接着剤の影響
本研究で使用したバサルト性メッシュでは、接着材が硬質か軟質かで、作用は大きく影響され、耐力向上効果や破壊時の特性に違いが生じた
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鉄筋の作用応力を低減
使用時における水平方向のバサルト製メッシュは曲げ引張抵抗を受け持ち、幾分かは鉄筋の作用応力を提言していることが確認された。
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せん断補強力の評価
連続繊維シートの設計式を参考に、せん断補強効率Kを用いることで、バサルト製メッシュの梅持つせん断耐力を概ね評価できるが、その効率については、さらなる検討が必要である。
今後の展開
バサルトの使用、研究は2016年現在中国などで活発に行われていますが、日本での使用例、研究は少なくデータが不足していますので、十分なデータを収集し、より有効な施工方法・活用方法を提示することができれば大量生産・普及につながると考えられます。